難しい言葉の例
- 絨毯(じゅうたん)
- 歎息 ( たんそく )➔なげいて、ため息をつくこと
- 所謂(いわゆる)
- 懇ろ (ねんごろ)➔親密なこと
- 偏に (ひとえに)
- 嘗て (かつて)
- 甚だ(はなはだ)
- 仄暗い (ほのぐらい)
- 強ち (あながち)➔強い否定の意を表す
- 徐ろに (おもむろに)
- 暫く(しばらく)
- 具に (つぶさに)
- 倶に(ともに)
- 焉んぞ (いずくんぞ)➔どうして
- 斯くも (かくも)➔このように
- 悉く(ことごとく)
- 姦しい (かしましい)➔うるさい
- 只管(ひたすら)
- 漸く (しばらく)
- 苟も (いやしくも)➔たとえどうであろうとも
- 恰も(あたかも)
- 塩梅(あんばい)
例えば初めの「絨毯」は、『限りなく透明に近いブルー』の1ページ目に出てきた漢字で、中学生の時にこれを辞書で調べて、1ページ目からこれじゃダメだと挫折した思い出があります。
難しい言葉が使われる理由
「なんでこんな難しい言葉を使うんだ!」
と思うかもしれませんが、わざと使っていることは少ないです。
昔の小説の場合は本当にその言葉を使っていたのに、今では使われなくなって、難しいと思われるようになったものや、漢文が一般的な教養でしたから、その影響で漢文的な言葉を使うことが大きな理由になっている気もします。
とはいえ、ほとんどの漢字は大学受験レベルの現代文や、漢文の知識で読めるようなものなので、受験経験がある人は読めるかもしれません。
つまり理由は
- 漢文の影響
- 古い言葉のため
- 作者の適切な言葉を表すため
これらが主な理由でしょう。
小説には難しい言葉、漢字が出てくるものです。
夏目漱石、森鴎外、中島敦なんかは漢文の素養があるので、その言葉が自然と出てくるのでしょう。読めたらかっこいいですね。
芥川は簡単な言葉を使う作品も多いですが、漱石と同じく東京帝大の英文学出身なので英語が出てきたり、漢文の素養があるので当然漢文も出てきます。
中国語が出てくる日本文学
芥川は中国滞在経験もあってか、現代中国語が出ることもあります。(例:『馬の脚』)
しかし大概の場合は訳されているので中国語が読めなくても読める仕上がりになってます。
大衆文学でも現代中国語の素養がある人は作品中にその言葉が出てくることがあります。
例えば
- 楊逸:中国ハルビン市出身、後に日本国籍取得
- 温又柔:台湾籍
- 東山彰良:台湾籍
英語の文学でもラテン語やフランス語が出てくることがありますが、日本語は、日本語自体が外国語を受け入れることが多いので、外国語をそのまま使うことが多いような気もします。
わざと書いているわけではなく、小説は作者の気持ちを適切に表すため、適切な言葉を選びます。だからこそ、一般には使われていなくても、その状況にあった言葉を選ぶんですね。
こういうことは大衆小説やラノベにはあまりないかもしれません。
ラノベの場合はあえて、雰囲気を作るために難しい言葉を選ぶ場合がありますが、普通は純文学でみることが多いですね。
漢文の影響について
「苟も」 (いやしくも)は、小説では漱石や太宰も使っていますが、ひらがなて書かれていることが多いです。
はじめの例の中で言えば、
- 所謂(いわゆる)
- 偏に (ひとえに)
- 嘗て (かつて)
- 倶に(ともに)
- 焉んぞ (いずくんぞ)
- 斯くも (かくも)
- 只管(ひたすら)
は、特に漢文でよく使われる言葉ですね。
漢文を普通に読んでいるとその言葉が自然とは言ってくるので、小説を書く際もそれが自然と出てくるんでしょう。
わざと書いているわけではなくて、本当に作者の言葉なんだと思います。
受験の影響で読めるようになりました。
いちいち調べるのも楽しいですが、そういう言葉を手っ取り早く知るためには受験参考書を読めばいいです。
⇓これは昔の漢文の教材で、物凄く詳しいですが、一般的な受験よりもレベルが高く、大学生でも読むくらいのものです。分厚いですし。
前半は他の教材と同じように基本的なところが多いですが、漢文を大学で専門にやりたいという人だけでいいでしょう。
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