古典をやるのには時間がかかります。
となると「やりたくない」と思われるでしょう。
そうです。現代人は時間がかかるものはやりたくないのです。
これは実感として皆さんあるでしょう。
これにも書いてありました。だから現代人は古典の知識がほとんどない。
でも皆さん古典の教養は欲しいと思っているでしょう?
古典を大学院まで七年間も専門的にやってきた経験からしてそうするにはどうしたらいいかというとたくさん読もうってこと。
まずは読もう
たくさん読むこと。毎日読むこと。
嫌になったらやめることです。
嫌になったらやめるというのは毎日続けるのをやめるということです。
一回はいった知識っていうのは忘れはするものの、感銘を受けたら一年くらいはうっすら持つものです。
ですから無理せず、気の向いたときにまた力を入れて読めばいいのです。
つまり三日坊主を何度も続ける。
筋トレを一年続けて付いた筋肉は一生を通してうっすら残り続けるようなものです。
そうすれば一年もつづけたら『多動力』にも書いてありましたが、濃い原液を作ることができます。
濃い原液を作るということは他の人ができなくて、知らなくて、無限に知的財産を生産できるということです。
それには古典が最良です。何せ2000年も持ち続けるような濃ぉい原液ですからね。
長く読まれつづける理由
所謂古典といっても、長く読まれているとは限りません。
『今昔物語』は平安時代の物語ですが、大正時代まであまり読まれてるものではありませんでした。大正になって、芥川龍之介が自身の作品『鼻』などの「王朝もの」作品によって『今昔物語』を世に知らしめたのです。
『論語』などの古典も、焚書坑儒で皇帝の一存の下、一時期一気に読まれなくなりました。この本自体に価値が無かったからからじゃないという反論もありますが、本というのは社会の要請によって価値が認められます。論語に限らず絶対的な価値のあるものはないのです。
でありながらなんで論語が読まれてるかってそれだけ知られている本だったからってことだと思うんですよ。
そもそも皆さんが論語を読みたいと思う理由って何でしょうか。有名だからですよね。
私は有名な本というのは寧ろ概念と一緒だと思ってます。つまり「犬」というような単語と一緒。
例えば20歳の人が今まで犬を見たことがないとしましょう。でも社会の中で「犬」という言葉、概念はあふれているわけです。となるとこの20歳の人は「犬とはどんなものだろう」と気になるのは当然じゃないでしょうか。
『論語』も同じ事です。
それ自体に価値があるのではなくて人々の同意の下価値が維持されるわけです。
しかもなんだかんだでそれが3000年くらい紆余曲折はありながらもあり続けるんですから価値があるとされるのは仕方のないことです。
途中で脱落してもいい
普通は三カ月、一年、三年と周期的に脱落者が出てくるので、続ければ続けるほど価値が上がっていきます。
しかし普通は途中で諦めます。でも事あるごとに思い出して軽く読めるようにしておけば、一度読んだものはそんな簡単に忘れるものではないので思い出すことはできます。
多くの古典がそうであったように続けていけば行くだけ価値は上がるもんです。
お酒など発酵食品の保存年数のようなものですね。
他の人だったら続けられないであろうところまで到達することです。
ポイントは年数と量。
年数は以上としても量はどうすればいいかといえばまさに、たくさんの本を読むこと
なんですが、古典ともなると読みにくいものも多いんです。当然。
ですから簡単なものをたくさん読んでいくんです。
しかも全部読まなくていい。さっと流し読みをたくさんする。
そして次の本に移る。
そういう「作業」をしていくことで嫌でもそれを読むこと自体が思い出に代わっていきます。
思い出になってしまったらもうエピソードとしての記憶になるので忘れませんし、むしろこういうことをしたんだという話のネタにもなるのでプロには一石二鳥です。
知識の保管に別の知識で固めよう
一冊の本を何度も読んでも当然効果はありますが、数種類を同時に読むとさらに効果が上がります。
なぜかといえば、あ、著者が違うのにまたここが引用された!と驚くからです。
この「驚き」というのが学習ポイントです。
(同じ個所で同じ人に会っても少しの驚きですが、違うところであったら大きく驚きますよね)
それが続くとこれは有名なフレーズなんだと、その分野に関する「通度」(ツウ度、オタク度)が上がります。
しかもほとんどの人は一冊買って満足しているのに、「通度」が上がると、人に説明する時に自信になりますし、
「この本にもあった、この本にもあった」
と頭の中で引用がたくさんできるようになります。
こんなことをするのは100人に1人もいないのですぐに通になれます。
簡単なものは漫画から行きましょう。
これは一冊にまとめられているので非常に使いやすいです。
次くらいには
高校生にもわかりやすい例をまとめているので非常に読みやすいです。
これは信用のおける初学者の友、齋藤孝。この人は何でも書いていますが初学者向きには分かりやすく丁寧です。
ここまで言ったら初級専門クラスも少しずつ読めるでしょう。
専門家としてまず読むべき本
この三冊は有名な研究者なので知っている方も多いでしょう。
というか専門家であれば全員知っていて当然のスターです。
とりあえずこの三冊は抑えておいて、必ず疑問なども出てくるのでそうなったら漫画などの戻ってもいいですし、わからない、納得できない個所は当然あるとして飛ばしてもいいと思います。
なぜなら全部納得いくことはほとんどないから。
これは価値観の違いで、それぞれ注釈本が各国で膨大な量が出ていますが
それぞれ微妙に違いますし、日中韓の価値観が違うのは最近のことではないので当然です。
古典はそれくらい気長に構えておいて、「わかんなくて当然だ」というような気構えで取り組むべきです。
何でも分かろうとする現代人のほうが学問的に間違いです。
その、「この箇所がよくわからない、意見が分かれている」ということを知っているのも通だからこそ味わえる感覚なのです。
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