名作とは何か
何がどう名作かっていうと、著名な賞を取っているものです。
なぜなら良いものは良いし、いいから賞を取っているのです。
賞を取っていなくても無名無冠の名作はあるだろうって?そらあるでしょう。
でもそれを視るだけの目って普通ないんですよ。
視る目が養われるのは2000冊からです。
普通の人は一生に1000も小説を読みません。普通じゃないから面白い領域に行けるのです。
小説に限りませんが、芸術一般を視るときに、そういう目を持たないと楽しくないといっても過言じゃないでしょう。
繰り返しになりますがそういう目があるのは名作小説2000冊読んでからじゃないと無理。
名作を読む目は2000冊から
何故2000冊かっていうと小説家になるのに最低限読むべき量だから。
私は二年間地元の図書館に入り浸ってその冊数に至りました。
私の場合2000冊行く前からその冊数のことは知っていましたが、別にそんなに読まなくたって読解力はあるだろうって思ってました。私も。でも違うんですよ。
1000冊読むと(名作だけですよ)、「あ、このパターンってあの小説や物語と同じだな、影響受けてそうだな」っていう見当がちょいちょい付いてきます。
そこまで読まなくても付きますが、その度数が上がっていきます。
2000に至ると、ほとんど毎回または9~8割そういう感想を抱くようになります。
当たっているかどうかは別ですが、毎回思うだけは思うようになります。
但し調べてみると本当に当たっています。
つまり小説を本当に読めるかどうかというのはそこから。
それはどういう意味かというと、パターンが大体分かるということです。
そうなると読者としての楽しみがなくなると思ってませんか?
逆です。
読めば読むほど面白くなる理由
パターンがわかっているということは寧ろその小説家の独特な色が分かるのでさらに面白くなるのです。
真の小説の面白さはストーリーとかそんな小手先のことではなく、表現力や他との違いにあるんです。だからよく小説家は「多様性が大切」だって言うんです。
もちろん多様性が認められないと小説家の商売にひびくということもあるでしょうが、そんなのは末端の理屈であって、理屈で商売するなら小説かなんか鼻からやらないでしょう。
本質的には小説家は小説を読みまくっているから成れの果てとして小説家になっているわけで、本当の面白さを知っているからこそ言っているんです。
じゃあ名作って何かっていったら、普通の人は芥川賞直木賞を思い浮かべるでしょう。
初めはそれでいいかもしれません。が、芥川賞は初心者には難解ですし(純文学は詩の延長なので)直木賞はエンタメすぎて100年以上持つ名作とは思えません。
本屋大賞なども然りです。名作は最低100年持たないと話にならないです。
ですから初めは「まんがで読破」シリーズがいいでしょう。
まんがで読破シリーズはとっても優秀
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このシリーズは本当に素晴らしいです。
名作というのは何度も読まなければ内容が頭に入りません。そして何度読んでも面白いから名作なのです。
初めはストーリーを大体把握して、そっから本篇や、解説書を読むべきなのです。
いきなり本篇読んで「何だよ全然わからねえよ」って思った経験あるんじゃないでしょうか。
それが漫画では初めの敷居の高さがクリアされるのです。ストーリーをざっと入れてしまえば、本篇を途中で見ても、「あ、ここはあのシーンか」っていうふうにイメージを思い浮かべやすくなります。
つまり読みにくいものであるほど漫画から読んでしまえばいいのです。
しかも現在139冊も出ているので、読みたいけど読めなかった!というものは必ずあるはずです。お薦めは古典です。
古典は本篇は超絶読みにくいですよね。外国のものも知識がないと難しいものが多いです。その距離感は実は一緒なんです。
私のお薦めは
宗教物の影響力はものすごいです。
直接間接に全ての物語に影響があるといってもいいんじゃないでしょうか。
しかも有名であればある程解説書も充実していて、分かり易いものも多いのです。
小説に限らず哲学もあるので余計いいです。
私の中で特に読んでよかった!と思うものは、
やっぱ聖書です。私は普通の日本人ですからキリスト教には疎いんです。
でもこれさえ読めば、ヨーロッパ文学や映画などでキリスト教の場面が出た際、大体のことは「あー、あの場面ね」っていう風に見当がつきますし、今まで聞いたことのある
「カインとアベル」
「出エジプト」
「モーゼの十戒」
がどういう意味なのか、どういう流れなのかということがストーリーで把握できます。
ちなみに聖書を知ると、他の名作もよくわかるようになるのです。
芋づるですね。
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この辺のきいたことのある物語の深い所に手が届くようになります。
次に読んでよかったのは、
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これですね。聖書も関係していますが、普通に読むと全く意味が分からないものが、
一冊で読めてしまう。
でも、私は一回ではうまく理解できませんでした。それだけ複雑なんですが、5回も読めば大体のことはわかります。
しかもまんがなので読みなおしも気楽にできます。
いきなり小説本篇を読むと、読みなおしも億劫です。ですからまずは漫画です。
それから本篇を読みましょう。
次は
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これは単純に面白かったです。ストーリーが。
どちらも岩波書店の本篇では赤と黒は2冊、ドン・キホーテは6冊でした。
でもこれを読めば、小説も気軽に読み進められて、途中で飛ばして好きなシーンへ行くこともできるようになります。
ただ漫画のドン・キホーテはかなり抜粋されているので、知っているシーンを探して、
その周辺を埋めるように読むと詳細が分かって面白く読めると思います。
これで2000行けば、芥川賞の面白さもわかるはずです。