原文を読むのはただの「理想」
よく「小説の漫画版を読んだら原文も読みましょう」という話がありますし、私も過去に書きましたが、そういう簡易的なものを読んでも放っておいて良いと思っています。
簡単に理解できるものがあるんだったらそれを読んでしまえばいいんです。
もちろんプロの研究者だったら原文を読んで、先行研究を確認というようなことをしなくちゃいけませんが、原文を読むのはあくまで理想であって、多くの人はそんなものを読む時間はありません。
原本を読んで良く理解することはただ、最善ってだけです。
ベターは漫画だけ読めば良い。
普通のものであれば1時間もあれば読めます。
急いで読めば30分くらい。
読書が苦手な人は漫画版を読みましょう。
それで充分なんです。
しかしほとんどの人にはそんなことできません。
ほとんどの場合は漫画版だけでいい
多くの漫画になっているものは難しいからそういう簡単なものが出ているので、それを読んでもある程度理解できるようになっています。
しかしものによっては書き手が理解していなかったり。カットが多かったりして原文と違うものもあるだろう、という話が絶対出てきます。
当然出来不出来がありますし、間違いがあることだってあるかもしれません。
しかしそれはほとんどありませんし、素人が読む分には一回読んだだけでは大概忘れてしまいます。
普通の人が読んでおいて得なことはそう言う漫画になるような名作の簡単なあらすじを知っておくことで、教養が得られるという事。
人生ではどんなときに教養が発揮されるか分かりません。
本当に原文を読まなくちゃいけないときでも、一回あらすじを知っておけば読む助けになります。もしくは別の本を読んでいるときに引用されていても理解できるようになります。本で得る教養というものはそういうものです。
漫画版を読んだだけで語るデメリット
いざ自分で語る番になったら原文を読むのもいいでしょう。
でも漫画版は内容を理解するぶんにはいいですが、それを読んだという事で語るには困難が伴います。
どうしても長いものの漫画版となるとカットされていたりする箇所があるからです。
漫画版を読んだだけで語れることもあります。
そういう場合は漫画版だけ読んだという事を言えばウソではないのでそこまで問われることではないでしょう。
原文を読んでないのに読んだ風に誤魔化すのは倫理的にマズいので、良心の呵責はあるでしょう。一方、世の中にはそういう人もたくさんいます。たくさんいるからいいというわけではありません。
そういう人の底はすぐにバレます。
仲良しグループだけならいいですけど沢山の人に言うと絶対に文句を言う人が出てきます。
それをまったく気にしないならいいですが、文句を言われて全然素露レスにならないという事は難しいでしょう。
だから最低限語る時には原文や、解説書まで読んだほうが、自分のためにも聞き手のためにもいい。
そういう風にマンガ版には限界がありますからそういう教養ある風にしている人でも、漫画版だけ読んでいればわかるようになります。
教養がある方が偉いという傾向がありますがそんなことはありません。
社会は色んな人が居て成り立っています。ほとんどの人は難しい古典なんか読んでいる時間はありません。つまり大乗仏教と教派仏教があるように、違いは出てきて当然。
「原文読むべし」はエリート意識
原文がどうしても読めないということが絶対にあるんですからその原文を読んでいないことを責めてはいけませんよね。
どうして原文を読まなくてはいけないという正義感のようなものを持つ人がいるのかというと、一つは「エリート意識」でしょう。
自分が苦労して読んだんだから他の人も苦労しろということ。
これは人間、誰しも思うことです。
もう一つは本当に理解しないといけない。真実を理解しないといけないという「正義感」ですが、それもそれが本当に正義かどうかもわかりませんし、所詮は人が書いたものの理解なのでそこまで大事にしなくても良いことです。
例えばそれがクリスチャンにおける聖書のように人生において大事なものであれば、「理解したい」と思うでしょう。しかしただの教養であればそこまで必死にならなくてもいいんです。知ってさえすればいいというような人もいて当然。
聖書だって難しいので普通は教会で牧師さんなどが教えてくれます。
でも漫画版があれば便利でいいじゃないですか。
というかほとんどの人はそこまで教養も必要ありません。
あれば人生が楽しくなるってだけのもの、それが教養です。
多くの場合はざっくり理解したいだけなので、プロ並みになる必要はありません。
たくさん読んだ中で、自分にピッタリきそうなものがあればそればかり読んでれば良いんです。
世の中に名著というものはたくさんあって、それを全部読もうと思っても一生無理なことです。だからある程度は漫画版の理解や、動画解説の理解程度でいいんです。