「駅伝」とは
駅伝というのは英語では「road lace」と訳される場合もありますが、この形式は日本でしかないので”Ekiden”と書かれる場合も多いです。
え?日本しかないの?と驚く人も多いでしょう。
そうです。日本は文化的に長距離走、特にリレーが好きなんです。
私自身はランニングは得意ではありません。
が、単純に何で正月に駅伝をやるのか、そして学校の体育教育では速く走ることよりも、なぜか長距離走に比重が置かれていたことが何となく疑問でした。
さらに皇居の周りをグルグルする人たちを見て、不思議に思ったので文化的背景や思想を考えながら調べてみました。
日本と長距離走
体格、体力的に欧米諸国、または黒人勢には勝てないと思いがちですが、オリンピックでは意外に好成績を収めています。
リオデジャネイロオリンピックでの銀メダル獲得が記憶に新しい4×100mのリレーだが、この種目で日本は
アテネオリンピック4位、
北京オリンピック銅メダル、
ロンドンオリンピック4位
と安定して上位に位置している。
他国を見ると100m9秒台を記録している選手がチームに多数いるのが当たり前な中で、日本チームには9秒台の選手はいない。
引用:陸上競技が強い国はどこ?強さの理由に迫る(1/1)|【SPAIA】スパイア
改行・太字はKECによる
長距離走は我慢のスポーツとも言われてます。
つまり日本のメンタリティに合っていて、更にリレーとなると個人の能力も大切でありながら、要はチームプレーです。
リレーであれば学校で経験した人も多いでしょう。バトンの受け渡しを死ぬほど練習させられた経験が。
このように日本人が好きそうな要素があるんですね。
日本はリレー好き
そもそも日本人は他のアジア諸国と比べて運動が好きで、それを文化的に思想と結びつけていました。
ちなみに中国や朝鮮では身体を動かすことは頭脳労働よりも圧倒的に下に見られます。
日本は武家政権が長かったこと、そもそも旅が好きな民族性であることもあって身体を動かす人を尊敬する文化的背景もあります。
更に上記したように、
- 我慢が好き
- 旅が好き
- 協力が好き
という要素があいまって、それが合わさっている駅伝が好きなんだと思います。
「旅好き」というのはピンと来ない人も多いかもしれません。
しかし日本は東の絶海にあり、旅の最終地点です。
アフリカから始まったホモサピエンスが歩き回って辿り着いた場所だからこそ、日本人は旅好きが多いと言われています。
だからこそコンパクトに移動できるように「弁当」が発達したと考えられています。
コンパクトにしようという思想は旅好きから来ているといわれています。
それは今でもそうで、世界的な冒険家が日本にはたくさんいるのに対し、中国などでは有名な冒険家が少ないんですね。これを書くと長くなるのでそのうち書きたいと思います。
このように駅伝は日本人が好きな要素が散りばめられているんです。
だからこそ日本人は正月に家族でなんとなく駅伝を見ます。
これがアメリカではアメフトに相当し、過去に大英帝国だったイギリス文化圏ではクリケットに熱狂します。
もともとは江戸が東京に変わって京都と東京の東西で二つの都ができたという「東京奠都」(とうきょう ていと)の50周年で、読売新聞が関わって始まったそうです。
紅白歌合戦もそうですけどもともと日本人は二つに分かれて争うことが好きなんですね。
それは別に戦争のように相手方を恨むではなく、運動会的に自分に近い身内を応援する興奮だと思います。
ただもう紅白は「対戦」形式は残ってはいるものの、もうすでに形骸化していますよね。
もうやめたらいいのに、とは思いつつ、「紅白歌合戦」という名前自体にバリューがあるので、「合戦」のところをなくしたら意味がないなど、もろもろの形式がパッケージ化されてますからそこを壊すわけにもいかないんでしょう。
このように日本人は対戦形式が好きなんですね。
見どころは「山」
「山の神」という言葉は駅伝を見たことがない人でも知っているでしょう。
その言葉の強さのポイントは二つです。
- 日本は山だらけ
- 山岳信仰がある
もともとその言葉自体に力がありますけど、その言葉の語源自体は山岳信仰です。
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日本の中心は山だらけです。ですから日本人であれば誰でも「山の神」という言葉自体は知っているはずです。
山自体が信仰の対象となっており、日本は昔から山という山には神社ができました。
そういうことは、広い範囲で日本人が何となく知っていることですから、その基礎的な言語文化の背景があるからこそ、「山の神」と聞いてピンとくるという日本文化に根付いたパワーワードなんですね。
これが西洋だったら宗教の形式が全然違いますから、あり得ません。
そう、駅伝でのハイライトは山です。
前述したとおり、日本人は我慢好きですから我慢で苦しむ選手を見て、自分もそれを追体験し、同じ苦しみを味わって涙を流すんです。
歴代の「山の神」
「山の神」というのは決して公式な称号ではありません。テレビ中継で「山の神」と言われることが一番の要因でしょうが、根本的になぜそういわれるのかはこれでしょう。
- 新記録を出す事
- 印象的な走りをすること
歴代の「山の神」はこの三名です。
順天堂大学の今井正人選手
東洋大学の柏原竜二選手
青山学院大学の神野大地選手
え?三人しかいないの?と思いましたが一番初めに使われたのが2007年なんですね。
案外最近の話なんですね。山の神って言ったら昔から名称がありそうですが、名称自体は最近のことです。
長時間的面白さ
駅伝って長くない?
そう。駅伝は長いからこそ面白いというのがあります。
上記したように、日本人は長いからこそそれが好きだということがあります。
最近は「時短」「効率」という言葉が流行ってそれを軽視する傾向がありますが、長い歴史があるからこそ面白いというところがあります。
もともと中国の思想書だった『老子』の「大器晩成」が日本人が異様に好きな言葉なのも納得です。
そもそも「大器晩成」は「大きすぎる器は完成しない」という読み方もあるんです。
これは日本では全然知られていないことです。
そして、あまり中国では流行っている言葉ではありません。実利、現物が好きな中国人はこの言葉を知らない人も結構います。
選手同士の駆け引きの結果、まさかという所で追いついた、抜かれたというストーリーが面白いんです。
地方選的面白さ
甲子園もそうですが自分の地元の学校や出身校が出ているとついつい応援したくなりますよね。
日大のパワハラ問題があそこまで大きくなったのは、「パワハラ」という問題以上の日本人の文化に日大が根付いちゃってるからというのが大きいと思うんです。
そもそもあまり知られていませんが、GHQが「財閥解体」したときに日本の十五大財閥を解体した流れで、日大も大き過ぎる組織だから解体された歴史があります。
特別付属
第二次世界大戦以前、日本大学の正付属校であったが、終戦直後に行われたGHQによる財閥解体の影響[93]により、1946年に日本大学より分離独立し、別法人となった付属校である。日本大学の推薦入学制度を正付属と同等に利用できる一方、他大学進学にも取り組む点がある。 校名は、「日本大学第(漢数字)○○」を原則としている。
それくらい大きかったんですね。
日大自体が大きいうえに全国に日大関係の高校などの学校があり、人生のうちに日大本体だけではないものの何かしら関係している人が多いからというのもあると思うんですよ。
自分がそうじゃなくても家族にそういう人が一人入るというのは集団に所属していることを強く意識している日本人に大きな衝撃があったんでしょう。
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