目的次第
これは目的にもよるんです。
- 受験勉強のため
- 雑談力向上のため
という目的では効率は悪いでしょう。
ただ単純に読みたいんなら、読めばいいと思います。
しかし辞書の丸暗記を試みる人は、大概が語彙力をつけたいというものでしょう。
語彙力は付くかもしれませんが、効率的ではないですね。なぜなら語彙というのは、自分とその周りが使う言葉が主なはずです。
『赤毛のアン』の作者のモンゴメリは、自身の日記で
「蜘蛛が糸で蜘蛛の巣を作るように文章を作るのが楽しい」
みたいなことを書いていましたが、言葉は独立した一つの意味のみならず、糸のようにそれぞれが繋がって作られるものです。

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つまり一個では存在できない、否、「しない」んです。
大概の言葉というのは文脈で理解するものじゃないですか。
赤ちゃんが言葉を獲得するのも、周囲の言葉を判別して、その文脈で意味を理解しているにすぎません。
ほとんどがそうです。
では辞書は何のためにあるかといえば、そんな文脈で理解できないような非常事態に使うのが原則です。
よって辞書は原則、一生使わないような言葉も収録していないと意味がありません。
小学生用の辞書ならともかく。

新レインボー小学国語辞典 改訂第5版 ワイド版(オールカラー) (小学生向辞典・事典)
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そういうことを理解したうえで辞書を読むのは楽しいし、有意義になるでしょう。
大人用の普通の辞書は普通、過去から現在までの多くの、そして広い範囲の言葉を扱っています。
ですから一生のうちに出会いそうもない、使う必要もなさそうなものがたくさんあるんです。
つまり「辞書」というのは「読む」よりも「引く」ことを前提に作られています。
受験勉強の国語の成績アップには効率は悪いし、日常の雑談をするにも効率が悪いです。
しかし人間の生活というのは「効率」で成り立っているわけではありません。
効率的に生きることが善とされがちですけど、それは経済的な利益を求めるのであれば、「善」でしょう。
しかし世の中はそうじゃないじゃないですか。
効率とは、大概は経済的に利益となりうる目的があって、それに至る最短ルートとしての効率でしょう。
そんな目的が無く読むんなら良いと思います。
辞書を読むのは宇宙に行くのと一緒
なぜなら言葉の世界は目的地があるわけでも、終わりがあるわけでもない「宇宙」だからです。
例えば宇宙に何で行きたいかといえば、特に目的は無いでしょう。
宇宙にはなんとなく生きたいと思っている人が多いと思います。
私もそうです。
じゃあ宇宙に行ったからと言って特に目的があるとは言えないんじゃないでしょうか。
あえていうなら、
- 宇宙人がいるかもしれない
- 未知なる資源があるかもしれない
そういう、「~かもしれないから」という、抽象的な、ザックリしたものはあるかもしれません。
目的とは具体的に指すものです。
- アメリカにいるケンに会いに行く。
- 金を採掘するために○○金鉱に行く。
というように具体的なものです。
辞書を読むんなら「こうしたい」という具体的な目的もなく、冒険のような気持ちで読むほうがいいでしょう。
言葉の実践には・・・
辞書を読んでも文章力は上がりませんし、会話の能力もすぐに上がるわけではありません。
あるとすれば、言葉の量のビルドアップのようなもので、実用しない筋肉を鍛えるようなものです。
読書と筋トレは同じ考え方でやるとうまくいく。 - ノーミソ刺激ノート
全く不要になるかといえばそんなことは無いですが、実用を期待しない、言葉の楽しみとして読むべきだと思います。
本当に実用を得たいのであれば、言葉を実践している小説や随筆の名文を多く読んだほうがずっといいです。
読書時間の作り方(読書時間がない!) - ノーミソ刺激ノート