メリットに関してはこちらをどうぞ。
デメリット
読書のメリットばかり書いてきましたけど、デメリットもあります。
それは、人を下に見てしまう危険性があること。
読書をするとどうしても知識、教養が増えてきますから「そんなことも知らないのか」と、周囲の人を馬鹿にしてしまうんです。
これは頭がよくなった、勉強ができるようになったのと人間性である「徳」とは別物だという事ですね。
じゃあどうしたらいいかというと、知識重視の読書ばかりではなく、「心を動かす」読書をした方がいいんじゃないか。
心を動かすという事
心を動かすという事は心の置き場を自分にするのではなく、色んな立場に置くということ。
犯罪者に対し、その犯罪者自身を「最悪な人物」として非難するのは簡単なことです。でも犯罪者には犯罪者の文脈があるんですね。
例えば、頭のいい詐欺事件に対して、テレビのコメンテーターが、
「こんなのに頭使うんだったら、もっといいことに頭を使えばいいのに」
という事がよくあります。
これは私からしたら道徳心が無いんです。
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詐欺犯罪をする人は詐欺をすることに喜びを得る、達成感を得る場合が殆どです。
「○○の代わりに✖✖をすればいい」
というのは相手の立場に立っていませんよね。心を寄せていないんです。
「ケーキを食べるくらいなら運動するほうがいい」
「ゲームをするくらいなら勉強をした方がいい」
というのと同じで、世の中の「正論」というのは冷たいものです。
正論は全然、人の気持ちを考えていません。
普通はそうだけど、この目の前の人は、どうすればいい方向に進むか。
ということを面倒なことをイチイチ考えるのが道徳です。
人間は正論では生きていけないから社会を、規則を作ったんです。
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イメージしよう
大人になった今こそ、人間とは、道徳とは、という事を考えてみてもいいでしょう。
自分は人に対して優しいと思っていても、気づかないうちに人に対してバカにしてしまうことはあります。
これは自分一人で思っている分には問題ないですし、「バカと刃物は使いよう」で、そういう優越感をうまく利用することもできます。
しかしこの優越感というものは厄介で、最悪な悲劇を招くことだってあります。
姫野カオルコの
— KEC@古典読み@ブログやってます (@kec_twitt) 2018年10月25日
『彼女は頭が悪いから』
という実際にあった、東大生5人の女子大生強制猥褻事件をテーマにした小説があります。
上に立った未熟者は人を下に見る傾向があります。
勉強にしても、見た目にしても、社会的に誉められたからと言って表面上の価値を絶対視すると悲劇が待ってるんですね。
この本は超絶にムナグソ悪い話なので読者を選びます。
が、これもまた人間の現実です。
犯罪まで犯した彼ら個人を恨むのは簡単なことですが、彼らもまた我々と同じ人間であり、人生の流れの中では誰だって、そんな重罪を犯す危険性があるんです。
そういうことを「追体験する」こともまた、読書の効用です。
ですから、受験勉強も重要ですが、一見、意味のなさそうな小説を読むことによって他者の状況を追体験することが、人間としての徳を得ることに繋がるかもしれない。
そういうものは一回読めば大分違いますが、継続的に読む、もしくは思い出すのもいいでしょう。
思い出すには過去にそういうものを得た経験が無いといけませんから、すぐに役立つものではないし、効果があっても気づかないうちに身に沁みついているものです。
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