具体的な方法
方法としては、
- あらすじから知ってしまう
- 映画版・漫画版を先に見る
ということがいいでしょう。
「先に知ってしまって楽しめるのか」
と思うでしょうが、あらゆる「たのしいこと」というのは、「予定調和」です。
恋愛ドラマを見るのも、ホラー映画を見るのも、
- 「キュンキュンしたい」
- 「ハラハラ・ドキドキしたい」
っていう前提で観るものでしょう。
食べ物を食べる時も、どういう味がするものか、先にある程度方向が分かっていないと、「甘い」と思ったら「辛かった」とかであれば、その味を楽しめませんよね。
本も同じように、「大体の方向性」を知っていないと頭がそれを処理できません。
短いものから読む
たとえば40㎞以上のフルマラソンを、いきなり走っても絶対に完走はできませんよね。
まずは短い距離からスタートのはずです。
もっと言えば、小学生低学年では、1000mも歩かせないでしょう。
それは体力の問題もありますが、長時間の集中力は耐えられないからです。
「いつ終わるのか」
という先の見通しが立たないから、人は不安になり、飽きるんです。
何をするにしても、あまりそれを経験したことのない初期段階で「嫌だ」と思ったものは長続きしません。
「楽しむ」ためには、まず、「嫌じゃない」という事から知ったほうが良いんです。
嫌じゃなければ、事あるごとにそれをすることが出来ます。
それを数回繰り返したら人よりも読めるようになってきますし、読み方も分かってきますから、快感に変わっていきます。
私は教員経験がありますが、教育の場でよく言われるのは、
「初めに授業のゴールを示せ」
ということ。
「この先は大体こうなる」
ってことを知っていることが、楽しむのことのスタートです。
「何も知らないところへ進むのがエンターテインメントだ」
と勘違いしている人がいますが、それは間違いです。
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ゴールが見えないのは不安
私は教師の経験がありますが、子供相手でも大人相手でも、授業を受ける相手は
- 「この先に何があるのか」
- 「この授業にどういう意味があるのか」
という事を無意識でも期待しています。
そういうゴールを示さないと不安になるので、授業に集中できないんですね。
長距離走をしたことがある人ならわかると思いますが、ゴールが見えないものは不安でしょう。
それは自分の身体がどこまで耐えられるかが分からないからです。
中学高校のマラソン大会でも、本番より前に練習させるのは、もちろん体力的になれさせることもあります。
でも他に
「精神的にどれくらい走ったらいいのか」
という感覚を掴ませるためでもあります。
それくらい知らないことは恐怖・不安なんです。
ですから、漫画版や映画版など、短く、分かりやすくしたものを先に知ったほうが良いんです。
それから文章版を読んだほうが、楽しく読めるんです。
ある程度読み慣れた人は、
「文章というのはこういうリズムで出来ている」
という事を体感的に感じることが出来るようになります。
だから分厚い本をいきなり読み進められる人がいるんです。
ですからまずは漫画版からでいいんです。
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「面倒」な理由
読書は面倒で疲れるだけで楽しくない、という人がたくさんいます。
私もそうでした。
でも今では人一倍本を読んでいます。
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ですから、 「本も読めない自分はダメなんだ」と思う必要はありません。
人は本来、文章を読むのは面倒なんです。
だからほとんどの人は本を読まないんです。
じゃあ、なんで本を読むことを楽しんでいる人がいるのかといえば、
- 新しい知識を得るのが楽しい
- 新しい表現を読むのが気持ちいい
という事があります。
「表現を読むのが楽しい」というのが、よくわからないという人が多いと思います。
これは上級者の話ではあります。
が、一応言っておくと、言葉に関心が高い人は、読んだこと・聞いたことのない表現を知ることに快感を覚えるんです。
「新しい知識」もそれと似たようなことではありますが、それは「基礎知識」があってこそのこと。
たとえばスポーツに基礎知識がある場合、それに関しての情報に敏感になりますよね。
自分自身がそうでなくても、そういう人を見たことがあるという事もあるでしょう。
それは少しでも知識があるとその情報に敏感になるからです。
逆に何の興味もなければ気づきもしないでしょう。
例えば、興味の無かった音楽でも、何度も聞いていれば気持ちよくなってくるという事は誰でも経験していることではないでしょうか。
それは
「次にこのメロディが来る」
という事を知っているから、そのメロディに「ノれる」んですね。
- 「司馬遼太郎の本ばかり集中的に読んでいる」
- 「村上春樹だけ読んでいる」
という人が一定数います。
それは何故かといえば、たくさん本を出している小説家には、文章の一定のリズムがあるからですね。
たくさん読んでいる人はその作家のリズム感や、出てくる状況が分かっていますから、分かっていることがくると
「キタキタ!」
とワクワクしてしまうんです。
歌舞伎のような
「待ってました!」
という感じですね。
同じモノを読んでも何で気持ちいいんだ?
と思う人もいるでしょうが、それは小説に限らず、あらゆる趣味でいえることです。
恐らくそういう「予定調和」を気持ちいいと感じるんでしょう。
人はそういうものを嫌う傾向もあります。
でもそれは行き過ぎた予定調和であって、小説の場合は一度で全部の状況を覚えきることは無いですから、1回読み切ったはずの本でも、色んな発見があるわけです。
だから何度も同じ本を読んだり、同じ音楽を聴いたりするんですね。
音楽は続けて聞いていられるけど、読書が続かないっていうのは、本は閉じてしまえば簡単にやめられますから簡単に諦められるんですね。
だから短い漫画版や、強制的にずっと続くような映画版からがいいんです。
続けていくと楽しくなる
しかしたくさんやっているうちに楽しくなるんですよ。
でもたくさんコナスことができない。
大人の場合は、少し面倒かもしれませんが「まんがで読破」シリーズを読むことをおススメします。
難解だと言われている
- 『カラマーゾフの兄弟』
- 『源氏物語』
- 『古事記』
など、東西問わず古典的名作が網羅されています。
いったんストーリーを知ってしまえば本編も比較的スムーズに読み進めることができますし、
「全然知らない」
という最悪な状況から逃れられます。
例えばスポーツにしても、下手だったら楽しくないけど、ある程度慣れてきたら自由に体を動かすことができて気持ち良くなるわけです。
読書も同じ事で、読書が楽しくない理由は、
- 言葉が分からない
- 漢字が分からない
- 展開が読めない
という理由で進みがスムーズにいかないうえに自分のバカさを実感してしまうので簡単にやめてしまうんですね。
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